WEEKLY COLUMN
ステーショナリーグッズ編 #03
“真心”を込めて、想いを綴ってみる

PC、タブレット、スマートフォン。あるいはその他の、最新デジタルガジェットを駆使している人もいるでしょう。あらゆるハイテク機器は、私たちの毎日に利便性をもたらしてくれます。
しかし、その恩恵を享受することで失ってしまうものもあるかもしれません。それが、想いを綴るという行為です。

内容を的確かつ迅速に伝えるならばEメールを利用するでしょう。けれども、それが感謝、愛情、激励の気持ちを真心とともに伝えるための最適な手段かと言えば、そうではないかもしれません。
例えば手紙を書くという行為は、その手間と費やした時間に、受け取った相手は送り主の想いや心情を深く感じることができるのではないでしょうか。

効率化が推し進められる中で、大切な“何か”を見落としつつあることも事実。今回ご紹介するステーショナリーグッズは、そんなことを改めて考えるきっかけになる、そんな逸品です。

1本の鉛筆に込められたスイスメイドの誇りと、心落ち着く香り

カランダッシュペンシルエディション9[※4本セット] 5,280円
カランダッシュ(カランダッシュジャパン tel:03-6804-3201)
公式HP https://www.carandache.com/jp/ja/

最初にご紹介するのはフレグランスペンシル、読んで字のごとく香り付きの鉛筆です。
これを手がけるのは、1915年にスイスのジュネーブに誕生したカランダッシュというブランドです。前身であるジュネーブ鉛筆工場からスタートし、以後、国内の厳正な品質基準をクリアした製品を世界へと送り届けてきました。その過程において様々な特許も取得。1929年には世界初の完全金属製クラッチペンシル「フィックスペンシル」を開発し、世界初の水溶性色鉛筆「プリズマロ」を生み出すなど、ステーショナリーを通して世界に利便性と驚きをもたらしているブランドです。

近年で最も注目されたのは、2014年に発表された「カランダッシュペンシルエディション」シリーズ。スイス国内に生息する希少な木材を使ったHBのグラファイト鉛筆に、フレグランスを纏わせた画期的な代物です。
ジュネーブのホームフレグランスのリーディングカンパニー、ミゼンジール社との共同開発によるもので、その斬新なアプローチと確かなクオリティはたちまち人気を呼び、カランダッシュの看板シリーズとして知られています。

今回ご紹介するのは、その9作目を数える最新作。ミゼンジール社のアルベルト・モーリアス氏が手掛けた香りは“アルプススピリット”と名付けられ、アンブロキシドとナツメグを組み合わせた香りが森林や大地を想像させます。
ほのかに感じられるオレンジの香りは、早朝の穏やかなアルプスの山頂に登りつつある朝陽と、夜から目覚めつつある空が混じり合う様をイメージしているのだとか。
今回は木材に再生構築材を使用。そこへ特殊な印刷手法を用いながら希少な木材の表情をプリントしています。
心落ち着く香りが、大切な人に送る気持ちを文字に起こしていく時間を、かけがえのないひと時として演出してくれます。

封を閉じるひと手間にも、気の利いたアイデアを

AからZまでのアルファベット装飾が施されたシーリングスタンプ 各3,080円
エルバン(クオヴァディスジャパン tel:03-3411-7122)
公式HP https://www.shop.quovadis.co.jp

次は、シーリングワックス(封蝋)と呼ばれるものをご紹介しましょう。
ヨーロッパの貴族達の間で11世紀頃から広まり、主に手紙の封筒を閉じる際に用いられてきたものです。溶かした蝋を開封口の継ぎ目に落とし、そこに印璽(読み方は「いんじ」。国家を表章する印章の総称)などを押すことで、未開封であることの証明や差出人の家系を示すための手段でした。

道具の開発や郵便制度の発達、貴族の没落によって目にする機会は少なくなっているものの、現代に受け継がれているヨーロッパ文化のひとつです。重要書類の改ざんを防ぐ目的で使用され、高級ウィスキーやワインボトルの装飾、ギフトのラッピングなどで使用されています。

シーリーングワックスは全10色。1箱4本入。スタンプとは別売り。 各1,980円
エルバン(クオヴァディスジャパン tel:03-3411-7122)

シーリングワックスを語るうえで、フランス生まれのインクブランド、エルバンは欠かすことができない存在です。
創業はなんと1670年、太陽王と名高いルイ14世の在位時代にまで遡ります。1700年にはインクの生産をスタートし、1798年には独自のインク開発と本格的な量産に乗り出すことで、その名は世界へと広まりました。

豊かな自然の中で目にする色からインスピレーションを得た同社のインクは、他では真似できない美しい色合いが評判を呼び、定番色で知られる“ヴィオレパンセ”を筆頭に、多くの国民に親しまれています。その美意識を象徴する繊細なカラーリングは、シーリングワックスにもしっかりと落とし込まれているのです。

エルバンのシーリングワックスは、その深みのある色合いに加えマットな質感が高級感を演出します。そして紙にしっかりと接着し、割れにくい。この扱いやすさは、同社の名声を高めた何よりの理由です。

上の写真でも示しましたが、使用時に用意するものはシーリングワックスとスタンプ、そしてロウソクとスプーン。使い方はいたって簡単です。複数の色を使う場合は、スプーンにアルミホイルを巻いておくと便利です。まずスプーンの上でシーリングワックスを溶かし、開封口へ落とします。そして、スタンプを押す。固まるまで待てば完成です。
エルバン社製のシーリングスタンプは、アルファベットの装飾が施されており、AからZまで全て揃っています。付属の木製ハンドルは、ダークブラウンです。

フランス人がインクを選ぶ際、最初に指名するのがエルバン。そんな国民的ブランドが今なお世界中に輸出するシーリングワックスという文化。手紙を送る際の小粋な演出として、かなりおすすめです。手紙のほかには、ラッピングやコラージュなどのアクセントとしてもおすすめです。

現代社会において利便性は最も優先すべきものでしょう。その観点でいえば、わざわざ手紙を書くという行為は、非効率なものと捉えられるかもしれません。
ですが、真心を込めて、想いを伝える手段としては、ときにEメール以上の効果があるようにも思えませんか。何より今回ご紹介した二品は、アナログな行為自体を楽しむためのものでもあります。
これを機に、皆さんも大切な誰かに手紙を書いてみてはいかがでしょうか。